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所長挨拶

2011年3月に発生した東京電力(株)福島第一原子力発電所事故では放射性物質を放出する原子力災害が発生し、その後12年が経過しました。その復興に向けた取り組み(デブリ取り出し、汚染水処理、等)は継続されています。一方、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけとした世界の政情不安から国内外で原子力を安定供給が可能なエネルギー源として位置付ける動きもあります。原子力研究所では原子力分野に携わる専門家として、今後とも関連する教育・研究を行い、原子力・放射線教育や外部利用での放射能測定を提供する等の活動を継続して行きます。

原子炉施設の保安管理は2003年5月に原子炉施設の廃止が決定されて以来、原子炉施設の廃止措置及びその中での安全管理を最重点課題とし、RI施設は2008年度に施設の新設・整備に係るリフレッシュ工事を実施し、学内外の施設利用を進めています。また、2018年度からは1.7 MVペレトロン・タンデム加速器が稼働し、原子力安全工学科のユーザはもとより、他学科・外部ユーザも着実に増加しています。また、非管理区域での実験等が可能となるような設備整備を行い、原子炉施設におけるリスクの低減を実現しています。原子炉施設に関する廃止措置に関するハード面での進捗はないものの、国内での関係者では着実に啓蒙活動が進められています。引き続き、維持する設備の保守や予防保全を意識した施設管理を行っていきます。

2017年4月14日には原子力規制法令が大幅に変更され、その後、5段階に亘り順次施行されてきています。この改正に伴い、2019年度の試運用を経て原子炉・核燃料施設の新検査制度の本格運用が2020年4月より開始されました。2023年度は、2020年度の改正法令に基づき、設置許可申請書、試験研究炉用等原子炉施設の維持への関連事項、定期事業者検査事項、保安のために必要な措置、保安規定、廃止措置実施方針、廃止措置計画及び核燃料使用者の使用許可書に関して、改定、認可・提出等を行った文書等の下、改正法令を遵守し、業務改善・安全文化育成を含む品質保証活動として適切な保安管理を行ってゆきます。

以上、施設の日常的な管理業務を基本に、利用業務並びに教育研究の推進も合わせ、業務を遂行していきます。業務に取組む上で大切なことは所員相互のコミュニケーションであり、会議体も活用し(必要であれば、別途招集して)、管理室、事務室が連携し、法令を遵守して、業務改善・安全文化育成を含む品質保証活動(PDCA)及び是正措置プログラム(CAP活動)の下、適正かつ合理的な保安管理業務と利用業務を遂行していきます。

今後ともご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

2023年4月
東京都市大学原子力研究所
所長 佐藤 勇